渡部昇一先生はどんな人?
日本を代表する評論家の一人として活躍した渡部昇一先生は、保守派の英語学者としてたくさんのメディアにも出演し、幅広く活躍した人物です。
2017年に86歳でご逝去しましたが、死後も渡部昇一先生が残した爪痕は日本の政治界や財界などに幅広く影響を与え続けています。
渡部昇一の専門は英語学でした。
しかし先生の評論活動は英語学だけにとどまらず、政治や経済、また外交問題と広い分野に渡りました。
どの分野においても鋭い論点が展開された点が、渡部昇一先生が知の巨人と呼ばれる所以ではないでしょうか。
渡部昇一先生は学生の頃、論語と出会い、そこに書かれている言葉に大きな衝撃を受けました。
先生は家族の中では末っ子として生まれましたが、早くに兄を亡くしているため、家族を養わなければいけないという責務がありました。
論語の中には、孔子が「親孝行をして余力があるなら学べ」と教えており、それが先生の若き日の原動力となったのです。
大学進学の際には、親には経済的な世話にはならず、アルバイトと学問で生計を立て大学院へ進学してからは両親へ毎月し送る生活を続けました。
親孝行と学問を両立させた渡部昇一先生は、それだけでも素晴らしい人物だとうかがえます。
しかし、人生を忙しく走り抜けたわけではなく、人生の一コマ一コマを楽しむ術も知っていました。
その術を教えたのも、論語に登場する孔子の言葉です。
渡部昇一先生の人生は、孔子の論語ととても深い関係があります。
先生が亡くなった現在でも、論語と言えば孔子、そして渡部昇一先生ではないかと考える人は少なくありません。
渡部昇一先生の書籍コレクションは15万冊以上!
渡部昇一先生は、自宅に約100坪の巨大な書庫を持っていました。
多額の費用をかけて作られた書庫の中には、先生が研究者および評論家として活躍する中で増え続けた書籍が、なんと14万冊から15万冊も大切に保管されています。
書籍のジャンルは多岐にわたり、専門分野だった英語学はもちろんのこと、現代詩や文明論、雑誌などまで多種多様なものがあります。
ちなみにこの自宅書庫は、個人が所有する書庫の中では世界最大規模と言われています。
先生の書庫に残されているコレクションは、数だけではなくその質が高いことでも知られています。
廃刊された雑誌や、発行数が少ない希少な初版本などが多く、資産価値を考えても計り知れない価値ではないでしょうか。
ちなみに、渡部昇一先生は生前に相続税をゼロにすべきだという意見を持っていました。
先生の死後、高額の資産価値があると想定される書籍にかかる相続税が注目されています。
先生が所有していた書庫は、専門知識を持つ評価人によって相続財産として評価され、その額が基礎控除額の範囲を超える場合には相続税が発生するのです。
先生が唱えていた相続税ゼロは、残念ながら先生の生前には実現することはありませんでした。
しかしもしかしたら将来的には、そうした世の中がやってくるのかもしれません。